林業の構造 4
今日は、地域振興への寄与・・・
つまり地元経済への寄与に関する機能についてです。
国有林が地元経済に果たす役割は、部分林や共用林野等の地元施設を通じて発揮されますが、それ以外に山村民の就労の場としてのそれと、地元の木材工業等に対する林産物の供給源としてのそれがあります。
まず雇用問題についてみると、すでにみたように、国有林経営の「合理化」によって雇用量が著しく狭められているだけではなく、直用から請負への転換が推し進められようとしているところに特徴があります。
これは、すでに指摘しているように、戦後における林業労働近代化過程の中でやっと"人並みに近づいた"労働諸条件を否定することによって林業労働力の再生産を不可能にします。
結果として山村経済の縮小をもたらす危険性があるといわなくてはならないでしょう。
また、地元への林産物供給についてみると、国有林の販売形態が素材売りから立木売りに全面的に転換し、「合理化」が貫徹することによって次第に小規模業者の購入は困難となります。
いずれ、大型業者への集中傾向が必然化することが予想されます。
この点は、国有林野事業を請負う事業体の育成をめぐっても同様であって、大規模業者による小規模業者の排除と改編が進むものと思われます。
結果的には、地元にとっての国有林は、眼前に在りながらもより遠い存在となり、地元とは隔絶したものとなる恐れなしとしません。
総じて、"赤字"対策にのみ目を奪われ、それを発想の根源とする国有林経営の「合理化」は、国有林の存在意義を小さくして、国民の手からますます遠い存在にしています。
それだけではなく、林業生産諸力の構築に否定的に作用する危険性を持つものとして考えなくてはならないでしょう。
真の意味における国有林の再建のためには、長期にわたる視野からの国民の総意を結集した経営改善が必要なのです。